しらない常識

今日は前の前の会社の連中と飯を食べていた。私は例によって(なにが例だ?)生ガキとカキフライ定食を注文した。しかし、例によって(だからなにが例だ?)生ガキに憎き輪切りのレモンがついてきたのである。

私は物心ついた頃から輪切りのレモンが嫌いであった。いや、別に普通に食べるには良いのだが、搾り用としては最悪である。通常の串切りと比較して得られる絞り汁の量が少ないし、なにより圧倒的に手がレモン汁に汚染されるのである。串切りなら皮の部分を持って搾ればほとんど手は汚染されないのだが、輪切りだとそもそもどこを持って良いかわからん。皮の部分を持っても絞れないので、しょうがないので手で果肉の部分をつぶすのである。

ということで私はいつもどおり「あーなんで輪切りにするかな糞が」とか言いつつ手を汚染しつつ生ガキを食した。しかし、続いて出てきたカキフライ定食にも輪切りのレモンが付いてきたのである。再び「アホかと。馬鹿かと。」とか悪態をついていたら対面で同じカキフライを注文していた友人から「アホはお前だ」という指摘をうけた。

なんでも輪切りのレモンというのは手では搾るわけではなく、果肉と皮の間に箸を突っ込んでしぼるものらしいのだ。目の前で実演してくれたのだが、確かに手も汚れず果汁も十分に得られていた。「なんというすばらしい手法だ」とかいいつつ自分もやってみたのだが、実に簡単に出来た。「これは日本全国に発表するしか!」とか言ってたら、「こんなの常識だ」という話になった。

うむむ、常識だったとは。私は物心付いたときから輪切りのレモンが出てくるたびに、「阿呆が!」とか言っていた。私と一緒の飯を食べていた人は内心「阿呆はお前だ!」とか思いつつ、遠慮して笑いを押し殺しつつ気まずく飯を食べていたのだろうか。申し訳なく思う今日この頃であった。逆にこういうハズカシイ事を指摘してくれる人というのも、大事にしたいものである。

* その後

IRC 等で聞き込みしたところ、上記の技は結構知らない人もいたらしい。そこで、この技の詳細を解説しておこう。

1. 箸を一本ずつ両手で持つ
2. 箸を輪切りの両側のエンドに差す
3. ぐりっと捻る。
4. 以上。