空自輸送機が出発

小牧からパキスタン自衛隊C-130 輸送機6機が、出発した。支援物資として、テント315張り、毛布200枚、スリーピングマット20枚、給水容器400個、ビニールシート75枚の計約36トンを運ぶらしい。って、おいおい、テント315張りって桁が3桁は違うだろう、って誰しも思ったと思う。しかも、給油のため途中5カ所に立ち寄り、イスラマバードまで3日もかかるのだ。

C-130 はロッキード社のターボプロップ機で、自衛隊には 1956 年から導入されているとても古い装備である。2001自衛隊装備年鑑によると現在16機保有しているらしい。貨物室の大きさは長さ12.6m、幅3.0m、高さ2.8mって、おいおい列車1両分ぐらいぢゃないか(笑)。こんなに小さな搭載量で航続距離は約4,000kmしかいのだ。

しかし、C-130 はわが国の航空自衛隊の輸送機としては一番まともで、他には約1,600kmしか飛べない川崎製C-1と、伝説の日本航空機製YS-11があぐらいだ。これでも現在空中補給機が沢山あればノンストップで運べるわけだが、空中補給機はこないだ承認されたばかりで、現在はない。

そんな航空自衛隊の輸送機事情だが、実はとっておきの隠しだまが存在する。それは特別輸送機 B-747-400である。って、これはいわゆる政府専用機ですね。型番からわかるようにボーイング 747 ダッシュ 400 をもとにした物で、現在2機保有している。その能力は桁違いである。 C-130 の最大離陸重量は 79.4 トンであるが、 B-747-400 のそれは 362 トン(!)である。航続距離は 13,000 km におよび、パキスタンなんてノンストップでいけるのだ。小泉総理がテロ直後に「政府専用機を出す」と言われたのは、さすが航空自衛隊の実情をよくごぞんじだ、ということだろう。

ちなみに米空軍はどうなっているかというと、現在でも主力はロッキード C-5 ギャラクシーではなかろうか。こいつは 8000 マイル(18,272km) の距離を125,000 ポンド(56,700 トン)の荷物を積んでノンストップで空輸するというのを想定して作られた戦略輸送機である。貨物室の大きさは長さ43.8m、幅5.79m、高さ4.11mで最大122トン詰めるらしい。こいつのコンペにボーイングが負けて、そのとき提案していた奴の成れの果てが Beoing 747 であることは有名な話である。

とはいえ C-130 は戦術輸送機で、 C-5 は戦略輸送機なので、単純比較しても意味はあるまい。ようするに問題はわが国の航空自衛隊が戦略輸送機をもっていないということである。しかし、自衛隊も有事の対応もさることながら平時の PKO 等の活動も重視されている時代である。今後戦略輸送機が配備されるのも、時間の問題といえよう。